その咳、原因は痰かも?痰の色の変化は病気のサイン

痰とは?

痰は、空気の通り道である気道の粘膜で作られる炎症性の分泌物(粘液)で、免疫物質を含み、異物(ほこり、細菌、ウイルスなど)から体を守ります。気道に入りこんだ異物は、粘液に絡み取られ、気道の壁の細かい毛(線毛:せんもう)の動き(線毛運動)によって、喉の方に移動させられ、痰として体外に排出されます。痰の量が普段より増えたり、痰の色が濃くなった場合は、感染症などの病気の可能性があります。痰がたまると気道が狭くなり、呼吸がしにくくなるので、痰を出すために激しい咳が出るなどの不快な症状が現れてきます。

参考:独立行政法人 環境再生保全機構ホームページ(https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/sputum/01.html)

どんな種類があるの?

痰は、その性質と状態から粘液性や膿性などに分かれ、色も、無色透明、黄色、緑色などさまざまです。粘液性の痰は無色透明~白色で、ねばねばしており、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などでよく見られます。一方、黄緑色で強い粘りがあるものは膿性(のうせい)の痰と呼ばれ、気道感染症や肺炎、COPDの増悪などが原因と考えられます。

参考:日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019作成委員会(編).
咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019.
メディカルレビュー社

痰の状態とその原因となる病気

日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019作成委員会(編).
咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019.
メディカルレビュー社, p24より改変

喫煙習慣などで痰が増加?

喫煙習慣があったり、感染症などへの感染が繰り返されると気道粘膜表面にある線毛は傷つけられてしまいます。線毛運動が障害されると、痰を外に出そうとする能力が落ちて、体内に痰がたまりやすい状態になります。そのためCOPDなどの喫煙と関連のある病気では痰が増える可能性があります。

参考:独立行政法人 環境再生保全機構ホームページ(https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/sputum/01.html)